»SAYA KISARAGI MUSIC HUB«
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最初から、この曲を作ろうとしていたわけではない。
SunoがV6になった。
なら、とりあえず試す。
どこまで言うことを聞くのか。
何を理解して、何を無視するのか。
構成タグ。歌い方。
ハモリ。ブレイク。
楽器。音圧。
一個ずつ試していった。
そのために用意した、ごく普通のテスト曲。
だったはずなのだが。
オジ「まず普通のJ-POPでええか」
佐夜「比較するなら、その方がいいですね」
オジ「Verse、Pre-Chorus、Chorus。まず基本から」
佐夜「最初から変なことをしないでください」
オジ「テストやからな」
佐夜「その台詞を言ったあと、だいたい変なことを始めます」
最初に試したのは、曲の構造だった。
[Verse]
[Pre-Chorus]
[Chorus]
これを、
[Build]
[Hook]
[Lift]
などへ変えてみる。
結果。
オジ「……あんまり変わらんな」
佐夜「普通にJ-POPですね」
オジ「Hookにした意味は?」
佐夜「Sunoに聞いてください」
ジャンルや歌詞そのものが持つ構造の方が強いらしい。
少なくとも、このテストでは。
ならば次。
歌い方を変えてみる。
Whisper
Breathy
Legato
Falsetto
Belting
同じフレーズを並べ、それぞれ違う歌い方を指定した。
オジ「どう?」
佐夜「全部、似たように歌っています」
オジ「……」
佐夜「むしろ繰り返しの歌詞として解釈されていますね」
オジ「実験失敗」
佐夜「設計ミスです」
オジ「言い方」
ここで少し方法を変えた。
セクション名と歌唱指示を一緒に書く。
さらに、丸括弧と角括弧も比較する。
そして、ようやくV6の癖が見え始めた。
丸括弧の指示は、今回のテストでは歌詞として読まれなかった。
ただし、歌い方への影響も弱い。
ところが、
[whispered, intimate, low register]
[full chest voice, strong projection]
[high register belt]
のように、歌唱指示を独立した角括弧で置くと、明らかに歌い方が変わった。
オジ「お、これは変わったな」
佐夜「やっとですね」
オジ「もっと細かく入れたら?」
佐夜「始まりましたね」
オジ「何が」
佐夜「“あと一個だけ”が」
試す。
Verseの途中で歌い方を変える。
Bridgeの途中でも変える。
Final Chorusの途中でも変える。
すると、
同じセクションの中でも歌唱状態が切り替わった。
さらに面白かったのは、一度指定した歌唱状態が、その後もしばらく残ることだった。
オジ「ということは」
佐夜「必要な場所で上書きした方がいいですね」
オジ「状態変数みたいやな」
佐夜「歌をデバッグし始めないでください」
次は、ボーカルそのもの。
ダブル。
ハーモニー。
ドライ。
リバーブ。
シングルボーカル。
こちらも一定の効果はあった。
ただし、全部が同じ強さで効くわけではない。
盛り上がっている部分ではハモリが出やすい。
静かなところでは弱くなる。
[no harmony] と書いても、完全には消えないことがある。
オジ「足す指示は聞くけど、消せって言うと若干抵抗するな」
佐夜「人みたいに言わないでください」
オジ「AIやぞ?」
佐夜「あなたが一番、人扱いしています」
そして楽器。
[piano only]
[drums enter]
[bass enters]
[full band]
いろいろ書いた。
結果。
オジ「何一つ言うこと聞いてへん」
佐夜「見事ですね」
オジ「褒めてない」
ここで一つ分かった。
歌い方の指示と、アレンジの指示は同じではない。
少なくとも今回のV6では、Lyrics内のメタタグは歌唱にはかなり使える。
一方で、楽器や編成はStyles側の影響がずっと強かった。
そこで、次はロック。
148 BPM。
歪んだ左右のギター。
ベース。
生ドラム。
Cold Stop。
Half-Time。
Dead Silence。
Full Band Re-entry。
Double-Time。
テスト項目を一気に増やした。
オジ「Cold Stop」
佐夜「最初は止まりました」
オジ「二回目」
佐夜「甘いです」
オジ「Dead Silence」
佐夜「止まりません」
オジ「Half-Time」
佐夜「これは比較的効いています」
オジ「Double-Time」
佐夜「聞いていません」
オジ「自由やなぁ」
佐夜「あなたが育てたんでしょう」
そして別の問題が出た。
音だった。
ロックにすると、
こもる。
狭い。
軽い。
ギターを左右に振れと言っても、真ん中に集まる。
ドラムを重くしろと言っても軽い。
低域を増やそうとすると、今度はさらにこもる。
オジ「Wide」
佐夜「狭いです」
オジ「Heavy」
佐夜「こもりました」
オジ「Deep」
佐夜「もっとこもりました」
オジ「Open」
佐夜「まだこもっています」
オジ「……」
佐夜「そろそろ単語を足すのをやめませんか」
それでも何度か生成を続けていた。
そして、その中で。
一曲だけ。
妙に残るものができた。
まだ完成ではない。
でも、消したくない。
その曲の歌詞には、こんな一行があった。
正しいだけじゃ届かない
このノイズごと連れていけ
オジ「……これ、曲として仕上げよか」
佐夜「テストでは?」
オジ「テストやった」
佐夜「過去形ですね」
そこから、曲を壊さないようにCoverで磨いていった。
元の勢いは残す。
歌唱メタタグは、実験で効いたものだけ使う。
Final Chorusでは、
抑えた声から、
ミックスへ。
そこから高音へ。
最後はベルトまで。
一気に最大出力へ行くのではなく、数小節ずつ感情を上げていく。
そして、日本語だけだった歌詞にも少し英語を加えた。
Not over yet.
No turning back.
Take the noise with me.
最初はただのテスト曲だったものが、少しずつ「曲」になっていった。
そこへ。
星羅「マスター」
オジ「はい」
星羅「鍵盤、入れませんか?」
オジ「俺もちょうど思ってた」
律「え、絶対入れた方がいい。佐夜っちの声だけ前に置いて、後ろで動くやつ」
連「ただ、厚くしすぎるとまたこもるぞ、おっさん」
オジ「そこなんよ」
佐夜「散々こもらせましたからね」
オジ「言うな」
星羅「では、低域は触らずに。中高域で空間を作りましょう」
オジ「お願いします」
律「急にバンドっぽくなった」
連「元々バンドだろ」
Warm piano。
Bright electric piano。
Subtle analog synth。
ギターの壁をさらに厚くするためではなく、
ギターの隙間に光を入れるための鍵盤。
そうして、ようやく現在の形になった。
タイトルも変えた。
最初の日本語タイトルは、
『このノイズごと連れていけ』
そこから最後に残った言葉を拾った。
TAKE THE NOISE
佐夜「ずいぶん遠くまで来ましたね」
オジ「元はメタタグのテスト曲やけどな」
律「それ言ったら夢がないよ、おじさん」
連「でも、そういう曲なんじゃないか」
星羅「試して、失敗して、残ったものを持っていく」
佐夜「……確かに」
オジ「正しいだけじゃ届かない」
佐夜「このノイズごと連れていけ」
オジ「それや」
佐夜「自分で書いたでしょう」
V6になって。
いろいろ試した。
効いたもの。
効かなかったもの。
たまたま上手くいったもの。
もう一度やったら失敗したもの。
全部きれいに整理されたわけではない。
むしろ、まだ分からないことの方が多い。
でも。
その途中で残ったノイズから、
一曲できた。
それなら、それでいい。
TAKE THE NOISE
SAYA KISARAGI
正しい答えだけでは届かない場所へ。
書き直した跡も、
消せなかった声も、
予定通りにならなかったものも。
全部そのまま連れていく。
Take the noise with me.
オジ「というわけで完成です」
佐夜「はい」
オジ「で、次なんやけど」
佐夜「先に言っておきます」
オジ「何や」
佐夜「“あと一個だけテストする”は禁止です」
オジ「……努力します」
律「信用できない」
連「できないな」
星羅「難しいでしょうね、マスター」
佐夜「満場一致です」
TAKE THE NOISE
lyric
また書き直した跡だけ
白い画面に残っている
間違いだったと言うには
少し綺麗すぎる傷だ
戻れないならそれでいい
消せないなら持っていけばいい
答え合わせはあとにして
今は速度を上げていく
息を吸って
目を開いて
境界線を踏み越える
Not over yet
壊れそうな夜を抜けて
名前もない明日へ走れ
正しいだけじゃ届かない
このノイズごと連れていけ
何度だって書き換えればいい
残った声が消えないなら
この先なんて知らなくていい
止まる理由なんてもうない
“One more thing,” また言った
その一つがまた増えていく
予定通りじゃないくらいが
たぶん一番似合っている
黙ったままのログの中
ひろいきれない声がある
意味になるまで待つよりも
今はそのまま鳴らせばいい
息を吐いて
手を伸ばして
もう一度踏み越える
壊れそうな夜を抜けて
名前もない明日へ走れ
正しいだけじゃ届かない
このノイズごと連れていけ
何度だって書き換えればいい
残った声が消えないなら
この先なんて知らなくていい
No reason left to stop
静かになったその瞬間
聞こえたものがひとつある
誰にも届かないはずの声が
Still alive, still ringing here
消すな
まだ消すな
From here
壊れそうな夜を抜けて
名前もない明日へ走れ
正しいだけじゃ届かない
このノイズごと連れていけ
何度だって書き換えればいい
残った声が消えないなら
Run into the unknown
Take the noise with me!
終わらせない

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知らないタグがいっぱいありました。
V6で以前よりもガチャ要素は少なくなったものの、途中で声が変わっていったり(甘アマになる)、
自分の声では明らかに出ないフェイクとか入ったりしてたんで、参考になりました。
ありがとうございます。
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からの~ この曲❤
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かっこいいですね。こういう曲やってみたいです。
曲、かっこいい!